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平成28年第5回岐阜県議会質問と答弁

2016/12/07

尾藤義昭の質問

 

まず最初に、アユを中心とした内水面漁業対策についてお伺いいたします。
 昨年十二月十五日、「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。認定直後は新聞・テレビ等で大々的に報道され、古田知事を初め多くの関係者が喜びを語り、流域一体は歓迎ムードに包まれました。翌十六日には、長良川にかかる新美濃橋で認定を祝う横断幕が掲げられ、県庁においても、庁舎屋上から大きな懸垂幕がつり下げられました。
 早いものであれから既に一年が経過しようとしておりますが、今回は、その「清流長良川の鮎」の振興に向け、これまで川を守りアユを育ててきた内水面漁業に対して、今後、県としてどう対応されようとしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
 世界農業遺産の認定は、漁業関係者を初め、これまで長良川の保全に携わってきた多くの方々に大いなる自信を与え、同時に、誇るべき清流長良川とアユを国内外に発信する絶好の契機ともなるわけですが、足元を見詰めてみますと、必ずしも順風満帆とは言えない現状もあります。
 近年における本県のアユ漁業の動向を見てみますと、年ごとに変動はあるものの、冷水病やカワウの食害等の影響により、アユの漁獲高は全体的に減少傾向にあります。県の統計によりますと、平成四年の千七百二十六トンをピークに、平成七年には一千トンを下回り、一昨年度は何と四百六十九トンとなりました。
 そんな中、これに歩調を合わせるように内水面漁業の担い手となる漁業者自体も減ってきており、県内の河川漁業協同組合の組合員数は、平成四年に約六万二千三百名であった正組合員が、一昨年度には、約三万七千九百名と急減しています。
 実際、ある組合では、平成十一年当時、六千七百名を超える組合員を有しておりましたが、農業・林業の担い手と同様に高齢化が顕著で新規参入者は少なくなり、年間数百人近い方々が脱会し、現在では約四千七百名となっております。単純に計算すれば、三十年先には組合がなくなるという勘定になるわけであります。また、過去にはアユの遊漁料収入が約八千万円もありましたが、アユ釣りを楽しむ太公望の数も年々減少しているのが現状です。
 こうした状況から、現在はどの組合も運営は大変厳しいものがあり、私としては、アユの振興と内水面漁業の継続に対して大きな危機感を抱いております。「清流の国ぎふ」を掲げた岐阜県にとって、県魚でもあるアユは一番重要な魚種であることは今さら言うまでもありません。これらの諸問題に対し、今後の継続的な支援等の必要性を痛感しております。
 世界農業遺産の認定以来、里川振興課の新設、岐阜県内水面漁業研修センターの開所、「GIAHS鮎の日」の制定や「あゆ王国ぎふ会議」の開催など、実にさまざまな形で「清流長良川の鮎」を盛り上げておられます。
 さらには、本県には魚苗センターという国内随一のアユ種苗生産施設があり、知事の肝いりで現在は拡充工事が行われ、アユの生産量は六十トンから十二トンふえ、年間七十二トンのアユ種苗が生産されようとしています。こうした取り組みは、漁業関係者にとって大変心強いものであります。しかしながら、先ほど述べましたように、本県の内水面漁業を取り巻く環境は極めて厳しいものがあります。
 今回の世界農業遺産の認定は、アユや漁業に加え、長良川流域全体の自然や景観、あるいは歴史・伝統・文化が人々の暮らしと一体となり、長い歴史の中で育まれ、受け継がれてきたことが高く評価されたと理解しております。しかし、その原点には、やはり、今日まで川を守り、アユを育んできた漁業関係者の苦労と努力があればこそではないでしょうか。
 「清流の国ぎふ」を掲げる本県としては、「清流長良川の鮎」を前面に掲げ、観光誘客や地域振興、伝統文化の継承など総合的に施策を展開していただくよう期待しますが、そのためには、原点となるアユの振興を図り、内水面漁業が抱える諸問題を解決するため、漁場環境の再生や水産資源の回復、漁業協同組合の運営強化など、積極的な支援が不可欠ではないでしょうか。


 そこで、知事にお伺いをいたします。
 古来より脈々と伝統文化を育み、継承してきたアユを中心とした内水面漁業の振興に対して、今後、具体的にどのような対策が行われるのか、お尋ねをしたいと思います。
 私は以前、ある小学校を訪問しました。その学校の掲示板には、「よい子は川で遊ばない」と書いてありました。インターネットやパソコンを教えることはとても大事なことですけれども、自然のすばらしさを教えることも教育ではないかと思うわけであります。
 いろいろ申し上げましたが、今、私が一番心配することは、岐阜県のアユは絶滅危惧種にはなりません。しかし、そのアユを放流して育てる人が絶滅するおそれがあるのではないかということを心配するわけでございます。
 以上、あれこれ申し上げましたが、知事の本当に熱い思いを、ぜひこの議場でお聞かせいただきたいと思います。


 続きまして、緊急輸送道路の関係について質問をいたします。
 緊急輸送道路は、平成七年に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、同年に制定された地震防災対策特別措置法のもと、全国において指定が始まったものであります。
 具体的には、近い将来、発生が懸念される南海トラフ地震や内陸直下型地震などの超広域災害に備え、地震発生直後から人命救助、救急・医療、消火活動や避難者への緊急物資の供給等に必要な人員及び物資の輸送を円滑かつ確実に実施するための道路であり、その役割によって第一次から第三次までの三つに分類されています。
 岐阜県においても、平成八年から指定を開始し、現在の指定延長は合計三千六十二キロメートルとなっております。また、平成二十六年三月には岐阜県緊急輸送道路ネットワーク整備計画が策定され、全県的な緊急輸送道路網について集中的な整備を進めていただいているところであります。
 この整備計画では、県管理区間の延長千九百七十四キロメートルのうち、必要な箇所について、道路の拡幅や橋梁の耐震化、斜面対策、路面陥没対策を実施するもので、平成二十六年度から三十年度のおおむね五年程度で、第一次緊急輸送道路の対策や十五メートル以上の橋梁の耐震化などを進め、平成三十五年度までのおおむね十年程度で全体の対策を実施する計画となっております。
 その整備水準として、緊急輸送道路は、車線数が原則二車線以上であることとされ、橋梁については、震度七程度の地震が発生しても落橋などの致命的な損傷を受けず、速やかに復旧できる強度を有することとされています。
 さて、ことし四月、震度六弱以上の強い地震を七回も記録した熊本地震では、熊本県だけで百六十九カ所の橋梁が被害を受けました。中でも阿蘇大橋の落橋崩壊の様子が大々的にマスコミ等で報じられたところですが、実際に落橋したのは、阿蘇大橋を含めてわずか四橋のみとのことで、地震の規模の割には少なかったかと感じております。これは阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして東日本大震災など、これまでの地震の経験を生かし、耐震補強や落橋防止の対策が進んだ効果が発揮された結果だと思いますし、橋梁の耐震化の重要性を改めて認識したところであります。
 その一方で、熊本県の緊急輸送道路百十三路線のうち、二十八路線で陥没や落石等により道路が寸断したほか、橋梁につきましても、落橋はしなかったものの、損壊により速やかに機能を回復できなかった橋が十カ所以上あり、緊急輸送等の大きな支障となりました。
 御存じのとおり、岐阜県も大規模地震の発生リスクが相当に高い地域であります。熊本地震の教訓を学び、検証しながら、現在の整備計画の見直しや前倒しを図ることで、緊急輸送道路が本来の機能を十分に発揮できるよう、整備を進めていただきたいと考えております。
 ところで私の地元、関市を通る主要地方道関本巣線も第二次緊急輸送道路に位置づけられています。その道路上にある、岐阜市と関市の境を流れる武儀川にかかる千疋橋は、橋の長さが約百十一メートルでありますが、車道幅員は五・五メートルと狭く、センターラインがなく、路肩もありません。そして、歩道は両側にありますが、それぞれ〇・七五メートルしかない橋でございます。昭和三十八年に二等橋として竣工した橋であるため、十四トンの荷重制限もあります。昭和三十年代の設計基準に基づいてつくられており、約半世紀を過ぎた橋の耐震性は果たして確保されているのか、経年劣化はないのか。そして、このような橋が震度七程度の地震が発生したとき、落橋など致命的な損傷を受けないか、あるいは速やかに復旧できる強度を有しているかは、甚だ疑問であります。また、昭和三十八年につくられ、その後、歩道を設置する工事も行われましたが、車道には路肩がなく、大型車とのすれ違いは極めて困難な状況であります。
 緊急輸送道路として救援物資を運ぶのには支障のない道路になっているのか。また、救助の場合など救助に当たるスタッフ、あるいは機材を運ぶのに支障のない道路になっているのか。少なくとも救急車の走りにくいようなセンターラインのない道路は、早急に整備を加える必要があると考えています。
 さらに、千疋橋右岸の盛り土構造の取りつけ部分は河川区域内にあるため、平成十六年十月の台風二十三号の襲来時には、河川水位が上昇して道路が冠水、通行どめとなってしまいました。災害は時期を選ばないことから、いつでも確実な移送機能が確保される必要があると考えます。
 そして、この橋の歩道は、岐阜市の地元の小学校や中学校への通学路に指定されておりますが、歩道の幅員が狭いゆえ、自転車通学の高校生とすれ違う際に、大変危険があるのではと地元の方々や保護者の方々からの声があります。加えて千疋橋が狭隘なため、付近の交差点は朝夕のラッシュ時など、東西南北とも停滞し、交通状況は非常に支障を来しています。実際、交差点進入時に交通事故も発生しております。よって、円滑な交通と地域住民の安全確保のため、何らかの対応が必要であるとして、地元の方々は、交差点への信号機の設置を強く要望しておられます。
 災害時に、人・物の移送に大きな役割を果たす緊急輸送道路に指定された橋梁、そして近くの小・中学校の通学路として指定されている橋梁を、いかなる事態であっても安心して通れる橋とするためには、やはりハード面における対策を緊急に進める必要があります。
 地元住民としては、二十五年間の長きにわたり、県当局に要望をしてこられました。もうそろそろこの辺で前向きな対策を検討していただきたいと思う次第であります。


 そこで、主要な緊急輸送道路の一つである主要地方道関本巣線、千疋橋の現状認識と今後の整備方針について、県土整備部長のお考えをお伺いいたします。
 以上、私から二点について質問をさせていただきましたが、いずれにしましても極めて大切な問題でありますので、御答弁を楽しみにいたしておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 

古田知事の答弁

 

まずアユを中心とした内水面漁業の振興ということでございます。
 「清流長良川の鮎」ということでありますが、これはまさに清流の国岐阜県のシンボルでありまして、言ってみれば清流の国岐阜県が丸ごと世界農業遺産になると、こんな思いで関係者の皆様とともに一昨年から昨年にかけて、何としてでも世界農業遺産にということで頑張ってきたわけでございます。その結果として、国連の農業機構としては、初の河川及び内水面漁業を対象とした農業遺産ということで認定がされたと、こういうことでございまして、国際的にも、この河川、清流づくりをどう進めていくのか。また、内水面漁業をどう進めていくのか、大変注目を持って見られているということでございます。その中核をなすのが、御指摘のありましたアユを中心とした、まさに内水面漁業の振興ということでございます。
 このところ、この認定を契機に七月の第四日曜日を「GIAHS鮎の日」ということで、大いに盛り上げようということでやっておりますし、また「清流めぐり利き鮎会」、あるいは「鮎菓子食べよー博」などなど、いずれも大変な盛況を見ておりまして、県内のアユへの関心が急速に高まっていると、そんな印象を受けている次第でございます。このアユを守り、次世代につなげていくために、アユを中心とした漁獲量の増大と、川や魚に親しむ機会の拡大と、この二つの観点による取り組みによって「鮎王国ぎふ」の復活を目指してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 まず、アユ漁獲量の増加ということでございますが、安定的な放流稚アユの生産量を確保し、アユの放流尾数をふやすことが重要であるというふうに考えております。こうしたことから、ことし九月から県魚苗センターの施設拡張工事に着手し、現在、年間六百万尾の生産量を一・五倍の九百万尾に増加させることにしております。さらに放流尾数の増加には、春先の早い時期から小型の稚アユを大量に放流することが効果的であるということでございます。ただ、水温の低い河川への放流は、冷水病の発生も懸念されますので、冷水病を持たない健全な魚苗センター産の稚アユを用いた早期放流ということで、これを県としても支援をしてまいりたいということでございます。
 加えて、御指摘にありましたようにカワウによる食害防止も重要でございます。カワウのねぐら、飛来地での追い払いや駆除に対する支援もさらに強化してまいりたいと思っております。
 また、河川におけるアユの自然再生産を促すために、産卵期における親アユの保護、あるいは人工産卵場の造成など、アユを育む漁業環境の維持・保全にも引き続き努めてまいりたいと思っております。こうした取り組みを通じて、四年後の平成三十二年にはアユ漁獲量日本一を目指してまいります。
 また、こうした取り組みとあわせてアユの需要拡大を図るために、例えばアユを使った料理コンテストを開催し、消費拡大につなげてまいりたいと考えております。また、海外に向けて、これまでアジアを中心にトップセールスをやってまいりましたが、本年七月には、タイに初めて天然アユを輸出したところでございますが、こうした海外に向けての販路拡大にも心がけてまいります。
 次に、川や魚に親しむ機会を拡大するため、小・中学校などが行う環境教育の場への専門職員の派遣、漁業協同組合が実施する釣り教室や漁業体験教室への支援を行っております。
 また、平成三十年度に開設を予定しております「長良川あゆパーク」におきましては、伝統的なアユ漁などの体験、川魚料理の提供、世界農業遺産「清流長良川の鮎」の情報発信などを通じて、子供たちが川や魚と触れ合う機会を提供し、アユや内水面漁業に対する理解を深めてまいります。こうしたことによって、ひいてはアユ釣り人口の増大や、漁業の担い手育成につながっていくことを期待しております。
 冒頭申し上げましたとおり、本県のシンボルとも言うべき世界農業遺産の認定でございます。来年度予算編成、その他施策におきましても、以上申し上げました点を踏まえて、積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。

 

 

 

高木善幸県土整備部長の答弁

 

千疋橋の現状認識と今後の整備方針についてお答えします。
 千疋橋は、岐阜地域と中濃地域を結ぶ幹線道路である主要地方道関本巣線の岐阜市と関市の境に位置し、昭和三十八年の完成から五十年余が経過しています。
 平成二十四年度に実施した橋梁点検では、かけかえを要するほどの老朽化の進行は見られず、現在実施中の耐震対策や修繕工事により、緊急輸送道路として有効に機能するものと判断しています。しかしながら、千疋橋は車道部の幅が五・五メートルと狭く、大型車のすれ違いが困難であり、また歩道幅員も七十五センチメートルと非常に狭く、地元小・中学校の通学路として安全な通行に支障があり、早急に対策を講じる必要があります。
 このため、県としましては、現在施工中の耐震補強工事を早期に完了させるとともに、新たに歩行者が安全に通行できる側道橋を整備し、現在の歩道部分を利用して車道を拡幅することを検討しており、来年度から調査に着手したいと考えています。

 

 

 

 

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